乳幼児肛門周囲膿瘍に対する塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor:bFGF)の効果

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  • Effects of Basic Fibroblast Growth Factor (bFGF) in the Treatment of Infantile Perianal Abscess
  • ニュウヨウジコウモン シュウイ ノウヨウ ニ タイスル エンキセイ センイ ガ サイボウ ゾウショク インシ basic fibroblast growth factor bFGF ノ コウカ

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抄録

【目的】ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子basic fibroblast growth factor(bFGF,フィブラスト^[○!R]スプレー500,科研製薬,東京)は,新しい創傷治癒促進剤として火傷や褥瘡などに臨床応用されている.我々はその新しい応用として乳児肛門周囲膿瘍に対する効果を検討した.【方法】対象は,2007年10月から当科において治療を行った乳幼児肛門周囲膿瘍男児9例(治療時平均年齢5.1か月)である.【結果】最初の使用例は,外来にて9か月間の圧迫法を試みていた難治例で,bFGFを使用したところ5日間で排膿が停止し,次第に炎症所見も消失し軽快した.その後無処置で経過観察し,7か月後に1か所より軽い再燃があったもののbFGFを再度使用し,前回と同様に速やかに炎症が消失した.以後6か月間再燃はない.これ以降の8例には,圧迫法を行わず初期治療としてbFGFを用いた.全例で症例1と同様に速やかな排膿停止(平均日数±SD;7.3±1.9日)と炎症消失を認めた.この内1例に初診時と異なる箇所からの軽い排膿を1か月後に認めたが,2回目の使用で消失し,以後再発を見ていない.【結論】bFGFは,乳児期の肛門周囲膿瘍(肛門部感染病変)に対しても速効性の炎症抑制効果があり,圧迫絞り込み等の従来法と比べ簡便で有用な治療法と考えられた.

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参考文献 (25)*注記

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