書誌事項
- タイトル別名
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- A Review of 58 Ovarian Tumors Treated at a Single Children's Hospital
- 当院[埼玉県立小児医療センター]における小児卵巣腫瘍58例の検討
- トウ イン サイタマ ケンリツ ショウニ イリョウ センター ニ オケル ショウニ ランソウ シュヨウ 58レイ ノ ケントウ
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説明
【目的】小児卵巣腫瘍は日常診療でも遭遇しうる疾患である.成熟奇形腫が多いが,悪性化しなくとも再発する症例がみられる.また,卵巣腫瘍茎捻転は急性腹症として発症し,緊急手術にて片側付属器切除が選択されることも多い.摘出した付属器の病理学的検討では,卵巣温存の可能性が示唆されている.今回我々は,自験例から小児卵巣腫瘍における再発と卵巣温存の可能性について検討した.【方法】1999年1月から2010年10月までに当院で経験した卵巣腫瘍患児の診断,再発率,病理組織学的検討を後方視的に行った.【結果】卵巣腫瘍は58例で,平均発症年齢は10.6歳,左27例,右28例,同時性両側発症を3例認めた.卵巣腫瘍茎捻転は21例(36.2%)であった.診断は成熟奇形腫38例,未熟奇形腫3例,粘液性嚢胞腺腫4例,漿液性嚢胞腺腫4例,濾胞性嚢胞2例であった.悪性組織としては卵黄嚢癌4例,胚細胞腫2例,胎児性癌1例であった.同側再発は4例(6.9%),対側再発は6例(10.3%)にみられた.茎捻転症例では手術時に付属器壊死の有無を判断し,術式を選択した.2008年までは肉眼的に卵巣壊死を認めた症例で付属器切除を行った.しかし,摘出標本の検討では壊死と判断した症例でviableな卵巣組織の残存が確認された.2009年以降は卵巣壊死が強く疑われても,捻転解除と腫瘍核出術のみを行い,患側卵巣を温存している.【結論】卵巣腫瘍患児の約20%に再発を認めるので,十分長期間の経過観察が必要である.卵巣腫瘍の約40%が茎捻転で発症するため,女児の強い下腹部痛では卵巣腫瘍茎捻転を考慮すべきである.緊急手術の際には卵巣壊死が疑われても,捻転解除・腫瘍核出術のみとして患側卵巣の温存に努めるべきと考えられた.
収録刊行物
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- Journal of the Japanese Society of Pediatric Surgeons
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Journal of the Japanese Society of Pediatric Surgeons 47 (6), 943-947, 2011
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204832505856
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- NII論文ID
- 110008790676
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- NII書誌ID
- AN00192281
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- ISSN
- 21874247
- 0288609X
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- NDL書誌ID
- 11279684
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- NDLサーチ
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可