ラット大腸運動に対するモルヒネの影響

書誌事項

タイトル別名
  • EFFECT OF MORPHINE ON THE COLONIC MOTILITY IN RATS
  • ラット大腸運動に対するモルヒネの影響--in vivoとin vitroでの比較
  • ラット ダイチョウ ウンドウ ニ タイスル モルヒネ ノ エイキョウ in vivo ト in vitro デ ノ ヒカク
  • —A Comparison between <I>in Vivo</I> and <I>in Vitro</I> Studies—
  • <I>in vivo</I> と <I>in vitro</I>での比較

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説明

モルヒネなどオピオイドの作用として, 消化管運動を低下させることが知られている.本研究では, その機序を探るため, モルヒネを麻酔下ラットに経静脈的に投与し, 自発的な大腸運動への影響をin vivoと摘出腸管 (in vitro) について検討した.ラットの大腸に自己製作した内圧測定用バルーン付きカテーテルを挿入し, 腸管内圧を連続的に記録した.モルヒネの10mg/kgの静脈内投与により, ラット大腸運動は低下し, その作用は約4時間持続した.この作用が大腸への直接作用によるものか, 中枢の機序を介する作用によるものかを確認するため, モルヒネ投与にて大腸運動の低下を確認した後, ラット大腸を摘出してKrebs液で灌流し, 大腸運動を調べた.モルヒネ投与にて低下した大腸運動は大腸摘出後30分から1時間で回復した.同量の生理食塩水を静脈内投与した群では, 摘出の前後で大腸運動に有意な変化はなかった.また, モルヒネの静脈内投与後摘出した大腸条片に再び周期的な収縮が認められた後, ノルアドレナリン2μg/mlを灌流投与すると, 大腸運動は低下した.一方, アセチルコリン100μmol (360μg/ml) を灌流投与すると, 大腸運動は亢進した.しかし.静脈内投与量の約75倍にあたるモルヒネ100μmol (750μg/ml) の灌流投与, もしくはナロキソン (100μg/ml) の灌流投与による大腸運動の変化は認めなかった.以上の結果はモルヒネの経静脈的投与により生じる大腸の自発運動低下は, モルヒネが大腸に直接作用するのではなく, 中枢神経系あるいは自律神経系を介しての作用であることを示している.

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