下顎骨内面の三次元的研究

  • 泉 邦彦
    昭和大学医学部第二解剖学教室 昭和大学歯学部第一口腔解剖学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Three-Dimensional Studies on the Innersurface of Mandibules

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説明

日本人, インド人の下顎骨内面の硬石膏模型を作製し, モアレ縞等高線を撮影し, その内面の形態観察および計測を行い, 統計的に両者を比較検討した.下顎骨体内面は顎舌骨筋線を基準として竹トンボのようなねじれがみられるが, 日本人でこの傾向が強い.顎舌骨筋線の最豊隆部の位置は第3大臼歯付近が多いが, 日本人のほうがやや後方よりにあり, 豊隆の形は点および線状型が多く, 日本人ではくの字型もみられた.またこの横断面の蛮曲頂と顎舌骨筋線とは一致して下顎底へ向かって低くなるものが多くこの筋線の隆起は日本人で強く, とくに下顎底寄りのほうが隆線の傾斜は急であった.これを咬合面側から見ると, その経過はインド人でく型が多いが, 日本人ではそのほかに直線型がみられ, 後方から前方にいくにつれて離れていくハの字型を呈した, 舌下腺窩は, 顎舌骨筋線を越え顎下腺窩へ続くものがみられるが, 日本人では, このほかに顎舌骨筋線を越えないものもみられ, 最深部は日本人で狭い.顎下腺窩は前方は舌下腺窩へ続くものと下顎底へ続くものがみられ, 後方もΣ形が多い.このくぼみは前方は浅く後方が深いものは日本人で多く, 顎下腺窩の最深部位のみられるものはイソド人で多い.下顎角部付近の最頂部の形はインド人は紡錘形で, 日本人は点および線状形であり, その最頂部の位置は日本人のほうが少し後方で高く, 突隆も強い.翼突筋粗面は, 両者とも直線に経過する隆線のみのものが多く, 隆起は少なかった.この結果と先人の報告と比較し著者のこの方法はより客観性が優ることが示唆された.

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