頬粘膜遊離移植による上顎口腔前庭拡張術の臨床的検討

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  • Clinical Evaluation on Maxillary Vestibuloplasty with Free Buccal Mucosal Graft

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頬粘膜の遊離移植による口腔前庭拡張術は, 補綴前処置として特に上顎無歯顎患者に非常に有効であることが従来より知られていたが, この方法で行われた症例の予後経過を追跡調査した報告は少ない.本研究では, 58歳, 女性, 局所的に口腔前庭が浅い上顎無歯顎症例に対して, 歯科補綴前処置として頬粘膜遊離移植による口腔前庭拡張術を行い, その予後ならびに術後作製した全部床義歯の維持安定性について検討した.その結果, 移植した頬粘膜片の生着は良好で, 形成された口腔前庭の後戻りは小さく, 義歯床の辺縁封鎖性は極めて良好で, 術後3年を経過しても義歯の維持安定はよい.また, donor siteである右側頬粘膜には何ら機能障害は認められなかった.以上の結果より, 本法が義歯床の辺縁封鎖性をとくに必要とされる上顎無歯顎症例の補綴前処置には, 非常に有効であることが確かめられた.

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