残胃のGastritis Cystica Polyposaの検討
書誌事項
- タイトル別名
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- STUDIES OF GASTRITIS CYSTICA POLYPOSA
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説明
残胃の吻合部に粘膜ヒダの限局性肥厚を認め, 組織学的に腺窩上皮の過形成と嚢胞形成が隆起の主体を成すgastritis cystica polyposa (以下GCP) につき検討した.2/3部分切除後の良性残胃112例を対象とし, GCP発生頻度を手術術式, 術後経過年数と比較するとともに早朝空腹時残胃内の胆汁酸濃度及びトリプシン濃度を測定し, また残胃吻合・縫合部の胃生検材料を用いて胃粘膜内ヘキソサミン量を測定した.GCPは, Billroth-II法 (Bill-II法) 残胃に好発するといわれているが, Billroth-I法 (Bill-I法) にも比較的高率に認められた.また, 十二指腸潰瘍で胃切除された残胃では, 術後年数を経るに従いGCP発生頻度は増加傾向にあるのに対し, 胃疾患で切除された場合には差を認めなかった.両群間での切除時の年齢を比較すると十二指腸潰瘍群では平均年齢として12.9歳若く, GCP発生母地として胃粘膜の萎縮性変化が推定された.さらに, GCP発症要因についてみると, トリプシン, 胃粘膜内ヘキソサミン量は, GCPの有無による差は認めなかったが, 胆汁酸分析では, GCP群でCDCA, CA濃度が高く, これらの胆汁酸におけるグリシン/タウリン抱合比 (G/T比) は低下し, いずれも有意であり, GCP発症に関与しているものと考えられた.しかし, Bill-II法によるGCPを認めない群でも, Bill-I法のGCPを認める群に比べ濃度は高く, 胆汁酸のみでGCP発症を説明することは困難と思われた.すなわち, Bill-I法およびBill-II法において, ともに複数の発症要因があり, それぞれのかかわる程度がI, II法で異なるものと考えられた.
収録刊行物
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- 昭和医学会雑誌
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昭和医学会雑誌 51 (4), 442-448, 1991
昭和大学学士会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204836330368
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- NII論文ID
- 130001827431
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- COI
- 1:CAS:528:DyaK38Xls1KjtA%3D%3D
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- ISSN
- 21850976
- 00374342
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可