超音波凝固切開装置の直腸癌低位前方切除術における出血量, 手術時間におよぼす効果について

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タイトル別名
  • EVALUATION OF ULTRASONICALLY-ACTIVATED SHEARS FOR PATIENTS OF RECTAL CANCER RECEIVING LOW ANTERIOR RESECTION
  • チョウオンパ ギョウコ セッカイ ソウチ ノ チョクチョウガン テイイ ゼンポウ セツジョジュツ ニ オケル シュッケツリョウ シュジュツ ジカン ニ オヨボス コウカ ニ ツイテ

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説明

超音波凝固切開装置 (Ultrasonically activated shears, USAS) を低位前方切除術に使用し, 出血量及び手術時間, ドレーン挿入期間, 術後在院日数に及ぼす影響を止血クリップ使用群と比較検討した.当院で2002年1月から2005年1月までに熟練した一人の執刀医が施行した低位前方手術は20例でUSAS使用群8例をGroup I, LIGA clip使用群12例をGroup IIとし, 出血量および出血時間, 術後ドレーン挿入期間, 術後在院日数, 術後合併症を比較検討した.手術は全身麻酔下に行い, 患者体位は仰臥位もしくは砕石位で開腹下に低位前方切除術を行った.腫瘍摘出後腸管再建はLDAもしくはDSTの吻合法にて施行した.USASはHS II使用し, 出力はlevel 3, variable (凝固) モードに設定し, 主に腹膜翻転部以下の仙骨前面の剥離, 直腸周囲の剥離に使用した.USAS使用群 (Group I) の出血量は300.6±200.1mlに対して, LIGA clip使用群 (Group II) の出血量は492.8±139.9mlで有意に低下した. (p=0.045) 手術時間に関しては, Group Iは288.5±58.1minに対して, Group IIは266.1±59.8minであり有意差は認めなかった.術後ドレーン挿入期間に関してはGroup Iは11.8±2.9日に対して, Group IIは12.3±5.0日であり有意差は認めなかった.術後在院日数に関してはGroup Iは22.3±8.1日に対して, Group IIは26.3±11.2日であり有意差は認めなかった.合併症に関してはGroup Iは膀胱障害1例, 腸炎1例, Group IIはドレーン感染3例, 腸閉塞2例であった.低位前方手術におけるUSASの使用は手術時間の延長なく, 術中出血量を減少させ, 術後リンパ漏予防効果を認めた.

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