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- 曹 剛司
- 昭和大学歯学部歯科矯正学教室
書誌事項
- タイトル別名
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- Mechanical Properties of a New Orthodontic Elastic Chain
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説明
いわゆるmechanotherapyの主流をなすフルブラケット法は装置の形態, 材質面から, 多少なりとも術式に違いが見られる. まして術者の矯正操作の違いから同一の装置, 材質を使用しても, その治療ゴールに達するまでさまざまに異なった経過を経るものである. これらは使用する材質の変形率範囲が広いことが一因であるとすれば, 装置装着時から永久変形をほとんど生じず, 矯正治療に有効な安定した矯正力を長時間有する材質を使用することで改善できよう. 現在, 各種エッジワイズ法においてブラケットの構造形態には相違があるが, エラスティック・チェーンを応用した歯の移動は近年, 操作性の向上ならびに為害性, 審美性の観点などから治療上, 有効な材質であることが認められた. しかし, 市販されているエラスティック・チェーンはその永久変形率や変色性に関して改善は見られるものの, 改良の余地はある. 今回, 熱可塑性, 熱硬化性ポリウレタンゴムとは異なるポリスチレン系素材を開発し, 材質特性について市販されている材料と理工学的に比較検討した. 新素材チェーンは市販品より約2倍の伸びを調整可能で, 柔軟性に富み, 既存の材質に比べ30日間永久変形をほとんど生じないことで復元力に特筆すべきものがある. これを使用することで, 操作性の向上, 永久変形を生じたエラスティック装置による不確定な矯正力を取り除くことが可能であり, 歯の移動に最適とされている連続的荷重を可能とする. また, 食品などによる変色性においても有効な性質が認められたことで, 審美性の問題も改良された.
収録刊行物
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- The Journal of Showa University Dental Society
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The Journal of Showa University Dental Society 15 (2), 126-132, 1995
昭和大学・昭和歯学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204836517888
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- NII論文ID
- 10022002185
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- NII書誌ID
- AN00117140
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- ISSN
- 21865396
- 0285922X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可