書誌事項
- タイトル別名
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- THE RELATIONSHIP BETWEEN DIGESTIVE DISEASE AND SERUM MONOAMINE OXIDASE ACTIVITY
- シュジュ ショウカキ シッカン ト ケッセイ Monoamine Oxidas
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説明
胃十二指腸潰瘍, 胃癌, 結腸癌, 胆肝疾患等の消化器疾患と血清MAO値の変動との関係を検討し消化器疾患の診断に血清MAO値が応用できるか検討した.その結果は, (1) 健康成人の血清MAO値は28.9±1.8単位で範囲は20.5~37.3単位であった. (2) 胃癌, 胃十二指腸潰瘍, 結腸癌および胆肝疾患例の血清MAO値はそれぞれ32.0±1.6単位, 34.8±2.6単位, 33.6±2.2単位, 31.2±1.7単位で, いずれも正常値に比し有意の差は認められなかった. (3) 進行胃癌のうち硬性癌例の血清MAO値は34.5±1.5単位, その他の進行癌例では28.9±2.2単位でいずれも正常値に比し有意の差は認められなかったが, 早期胃癌の血清MAO値は37.5±2.8単位で正常値に比し有意に高い値を示した.しかし, 進行癌と早期癌との間には血清MAO値の有意の差は認められなかった. (4) 切除胃十二指腸潰瘍例のうち, 潰瘍期例の血清MAO値は32.4±3.1単位で正常値に比し有意の差は認められなかったが, 瘢痕期例の血清MAO値は41.7±5.6単位で, 正常値に比し有意に高い値を示した.しかし潰瘍期例と瘢痕期例の血清MAO値には有意の差は認められなかった. (5) 進行胃癌, 早期胃癌, 胃十二指腸潰瘍, 胆のう疾患, 結腸癌例の血清MAO値を手術前, 手術後1日, 3日, 1週目および2週目まで経時的に測定した結果, それぞれの疾患の血清MAO値はそれぞれの手術前の値と比較してすべて有意の差は認められなかった. (6) 胃癌, 胃十二指腸潰瘍, 胆肝疾患, 結腸癌例における血清総蛋白量, 血清GOT値, TTT値および血小板数と血清MAO値との関係を検討したが, それらの間には相関関係は認められなかった.以上, 胃十二指腸潰瘍, 胃癌等の消化器疾患と血清MAO値との関係を検討した結果, (1) 血清MAO値の測定はこれら疾患の補助診断として有用ではないと思われる. (2) 血清MAO値の測定は進行胃癌と早期胃癌の鑑別補助診断に有用ではないが, 早期胃癌のスクリーニングとして有用となる可能性がある. (3) 胃十二指腸潰瘍の潰瘍期と瘢痕期との鑑別診断および潰瘍修復の判定には血清MAO値測定は有用ではないものと思われる. (4) 手術侵襲に対する回復度の指標として血清MAO値を測定することは有用ではないものと思われる. (5) 血清MAOを肝機能検査として用いるのは適当ではないものと思われる. (6) 消化器疾患における血清MAO値と血小板数との間には相関関係が認められなかった.
収録刊行物
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- 昭和医学会雑誌
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昭和医学会雑誌 39 (3), 335-340, 1979
昭和大学学士会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204837404544
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- NII論文ID
- 130001823474
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- NII書誌ID
- AN00117027
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- ISSN
- 21850976
- 00374342
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- NDL書誌ID
- 2201760
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- データソース種別
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- JaLC
- NDL
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可