ニワトリ脳Anserine量におよぼすThiamine欠乏の影響

  • 徳江 茂
    昭和大学医学部第一薬理学教室 日本農産工業株式会社中央研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Über Anserin im Hühnerhirn Schwankungen des Anseringehaltes im Hirn beim Mangeln an Thiamin
  • ニワトリ脳Anserine量におよぼすThiamine欠乏の影響〔独文〕
  • ニワトリ ノウ Anserineリョウ ニ オヨボス Thiamine ケツボウ ノ エイキョウ ドクブン

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抄録

角尾ら (1963) は10kgのニワトリ脳髄よりAnserine 0.4gを結晶状に単離し, 確認したが, その後カラムクロマトグラフ法による微量定量法を確立して成鶏脳中には1.96μmole/gのAnserineが含まれることを認めた.Anserineはニワトリ筋肉中に多量含有されるDipeptideであるが, その存在意義については明確なものがない.われわれは生体内におけるこのDipeptideの意義を明らかにする目的で種々の面から検討している.本報告においてThiamine欠乏がニワトリおよび脳Ansenine量におよぼす影響を検討し, 以下に述べる成績を得た.<BR>1.Thiamine拮抗物質であるOxythiamineの投与により脳Anserine量は著明に減少する.しかし脳中にはAnserineの分解産物とされる1-N-Methylhistidineは増量しない.<BR>2.Thiamine欠乏飼料の投与により体重の減少, 肝, 心および腎Thiamine量の著るしい減少が認められる.投与約3週後に脚弱による歩行障害を来たし, 5週後に昏睡状態に陥つた.<BR>3.昏睡状態時に脳Anserine量の減少を認めたが, 拮抗物質投与の場合のような著るしい減少を示すことはなかつた.<BR>4.筋肉中のDipeptide量にはThiamine欠乏による影響は認められなかつた.<BR>5.肝および心に組織学的異常所見を認めた.

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