ペリトネアルアクセス手術における麻酔についての検討

書誌事項

タイトル別名
  • INVESTIGATION OF ANESTHESIA FOR ACCESS SURGERY OF PERITONEAL DIALYSIS: VALUE OF ULTRASOUND-GUIDED NERVE BLOCK
  • ペリトネアルアクセス手術における麻酔についての検討 : 超音波ガイド下腹壁ブロックの有用性
  • ペリトネアルアクセス シュジュツ ニ オケル マスイ ニ ツイテ ノ ケントウ : チョウオンパ ガイド シタハラヘキ ブロック ノ ユウヨウセイ
  • ―超音波ガイド下腹壁ブロックの有用性―

この論文をさがす

抄録

ペリトネアルアクセス(PA)手術では臍上部から下腹部までにおよぶ範囲に麻酔効果が要求される.しかしカテーテル先端留置に際しては患者の感覚に基づいて位置を決定するため,腹腔内への麻酔効果は必要としない.腹壁のコンパートメントブロックである腹直筋鞘ブロック(RSB)や腹横筋膜面ブロック(TAP block)は内臓痛を温存しつつ腹壁の体性痛に有効な麻酔であり,PA手術に適しているのではないかと期待できる.われわれはこれらの手技に着目し,2010年よりPA手術の標準麻酔として超音波ガイド下腹壁ブロックを導入し,今回PA手術における腹壁ブロックの有用性につき局所浸潤麻酔(局注)法と比較検討した.2002年3月から2012年6月までに行われた98症例(カテーテル挿入PDI/カテーテル抜去PDR/同時PDRIそれぞれ68/22/8)を対象とした.それぞれにおける麻酔はPDIでは局注56,ブロック麻酔12,以下局注/ブロック麻酔はそれぞれPDRで17/5,PDRIで5/3であった.麻酔方法:局注では術者が疼痛に応じて局所麻酔薬を追加しながら深層へ進む.腹壁ブロックでは麻酔医のもとに超音波ガイド下にRSB,TAP blockのいずれか,または両者を併用する.局注症例の麻酔薬使用量はPDI,PDR,PDRIで各々32.5(10-50)ml,24.8(7-67)ml,50.8(27-105)mlで,58症例(74%)において20mlを超えていた.各術式における麻酔薬使用量はPDRIにおいて有意に多かった.腹壁ブロックではロピバカインと1%メピバカインが使用され,RSBとTAP blockの併用が16(80%),局注を要した症例が14(70%)であった.ブロック麻酔における麻酔時間20分未満と以上で局注を必要とした割合は各々75,67%と20分以上の麻酔時間で低い傾向であった.麻酔方法により手術時間と術後鎮痛処置要求回数に有意差を認めなかった.PA手術時における超音波ガイド下腹壁神経ブロック麻酔は,RSBとTAP blockの併用法により,限定された麻酔薬量のもとで十分な麻酔領域を網羅する事が可能で,かつ安全に寄与するものと思われた.腹壁のブロック麻酔はPA手術において有用で最適な麻酔法であることが示唆された.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ