術前に診断した特発性大網出血の1例

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  • A CASE OF IDIOPATHIC OMENTAL HEMORRHAGE

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抄録

症例は51歳の男性. 夕方より突然心窩部痛が出現し, 徐々に症状が増強してきたため当院救急外来を受診した. 理学所見では, 心窩部から右下腹部にかけての圧痛を認める以外に異常を認めなかった. 腹部CTでは, 肝・脾周囲からダグラス窩に至るまで広範に腹水貯留を認めた. 右下腹部腹壁直下では腸管を背側に圧排するように限局性の低吸収域を認め, 内部には一部造影剤の漏出と思われる高吸収域がみられた. 腹腔穿刺で腹水は血性で, さらに血管造影検査で大網動脈の末梢枝から造影剤の漏出を認め, 大網出血による腹腔内出血と診断した. 同日緊急手術を施行, 腹腔鏡下で腹腔内全体を観察すると, 右下腹部の大網上に多量の血腫を認めた. 出血部近傍の正中に小切開を加えて大網を体外に引き出し, 出血点を同定, 結紮止血した. 原因が不明な特発性大網出血は稀な疾患である. 突発性の腹腔内出血においては本症も鑑別診断として念頭に置く必要があると考えられた.

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