軽微な交通外傷が発症の契機になったと考えられた脾および膵仮性嚢胞の1例

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  • A CASE OF SPLENIC AND PANCREATIC PSEUDOCYSTS DUE TO A TRAFFIC ACCIDENT

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抄録

症例は51歳,男性.シートベルトを着用して低速で乗用車を運転中,前方を走行中の他車に追突した.約1カ月後より左季肋骨から背部にかけての鈍痛を自覚,次第に増強し当院を受診,入院となった.腹部超音波検査では,脾下極および膵尾部に各々径約6cm,約2cmでいずれも内部が均一な低エコーの腫瘤が認められた.ERPでは膵尾部に直径約2cmの造影剤貯留が認められた.さらにCT,MRI検査などにより,脾および膵嚢胞と診断した.膵尾部切除および脾摘術を施行した.病理組織検査では脾および膵の嚢胞はいずれも仮性嚢胞でヘモジデリンの沈着があり,出血が示唆された.仮性嚢胞の発症に外傷が重要な役割を担うとされており,本例は追突時のシートベルトによる圧迫が発症原因と推測され,軽微な事故であっても経過観察上,注意を要すると考えられた.

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