直腸癌低位前方切除・器械吻合後の直腸膣瘻に対する薄筋筋弁充填術の経験

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  • Repair of Rectovaginal Fistula Using the Gracilis Muscle Flap

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症例は82歳,女性.直腸癌に対し低位前方切除を施行し,再建はdouble stapling techniqueで行った.術後30日目頃より膣より便の排出を認め,直腸吻合部口側縁に直径約2cmの瘻孔形成を確認した.術後直腸膣瘻に対して,薄筋筋弁充填による修復術を選択した.会陰部横切開をおき膣後壁を切開し,瘻孔周囲を剥離した.直腸瘻孔部を閉鎖し,右薄筋筋弁を用いて直腸膣間隙を充填した.膣後壁および会陰部を縫合した後,横行結腸人工肛門造設を行った.術後再発なく,修復術後6ヵ月で人工肛門閉鎖を行った.修復後1年6ヵ月経過しているが,再発なく,下肢の運動機能異常も認めていない.直腸膣瘻の修復において,瘻孔切除の後に筋肉組織などの充填による膣壁と直腸部との隔絶が再発抑制に有用とされている.本例では薄筋筋弁を用いたが,過不足のないvolumeが得られ,過度な緊張もなく安全に誘導することができた.器械吻合後の術後直腸膣瘻について,文献的考察も含めて報告する.

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被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (26)*注記

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