術前イマチニブ投与が奏効し腹腔鏡下超低位前方切除術による肛門温存が可能となった直腸GISTの1例

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  • Successful Neoadjuvant Imatinib Mesylate Followed by Anus-Preserving Laparoscopic Surgery for Lower RectalGastrointestinal Stromal Tumor (GIST): A Case Report

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抄録

症例は76歳の男性,前立腺肥大症の精査中に直腸背側に巨大な腫瘤を指摘され当科紹介となった.直腸診にて直腸背側に表面平滑な弾性硬腫瘤を認め,CTおよびMRI検査で下部直腸に長径8cm程度の仙骨に接する分葉状腫瘤を認めた.超音波内視鏡では第4層より発生し,内部は不均一な低エコーを呈しており,超音波内視鏡下穿刺吸引生検法で直腸GISTと診断した.腫瘍は骨盤腔を占拠し,仙骨と接しており,根治性および肛門温存の観点からイマチニブによる術前補助療法を開始した.4ヵ月の投与で30%の腫瘍縮小効果を認めるも,薬剤性肺炎を認めたため投与を中止し,腹腔鏡下超低位前方切除術を施行した.術後経過は良好で,術後14病日目に退院した.直腸GISTに対するイマチニブを用いた術前補助療法は根治性を損なうことなく,肛門機能が温存されうる有用な選択肢であると示唆された.

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