小腸に穿破した膵頭十二指腸切除術後の胆嚢動脈仮性動脈瘤の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Rupture of a Pseudoaneurysm of the Cystic Artery towards the Reconstructed Jejunum after Pancreaticoduodenectomy
  • 症例 小腸に穿破した膵頭十二指腸切除術後の胆囊動脈仮性動脈瘤の1例
  • ショウレイ ショウチョウ ニ センハシタ スイトウ ジュウニシチョウ セツジョ ジュツゴ ノ タンノウ ドウミャク カセイ ドウミャクリュウ ノ 1レイ

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抄録

症例は73歳,女性.膵頭部癌の診断で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.13病日に胆汁漏を認め,抗生剤,腹腔ドレナージによる治療を開始した.胆汁漏は改善したが,28病日に下血を認めた.精査のため下部消化管内視鏡検査を施行したが明らかな出血源を認めず,vital signも安定していたため保存的に経過観察を行った.33病日に再度下血を認め,血管造影検査を施行した.胆嚢動脈仮性動脈瘤から胆管空腸吻合部付近の再建空腸内に造影剤の血管外漏出を認めた.胆嚢動脈仮性動脈瘤の空腸内穿破と診断し,右肝動脈をコイルで塞栓して止血した.その後の経過は良好で,50病日に退院した.術後に腹腔内膿瘍が生じた場合には,仮性動脈瘤の形成・破裂という重篤な合併症が起こりうる.腹腔内出血だけでなく,消化管内に出血する可能性を念頭に置いて血管造影を行い,早期診断・治療につなげることが重要であると考えられた.

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