肉芽組織のcyclic AMP含量のhistamineによる増加とその機構に関する研究

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タイトル別名
  • Histamine-induced increase in çyclic AMP levels in granulation tissue and its mechanism
  • ニクガ ソシキ ノ cyclic AMP ガンリョウ ノ histamine
  • Histamine-induced increase in çyclic AMP levels in granulation tissue and its mechanism

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抄録

ホルマリン浸漬濾紙の皮下埋没によって形成される,ラットの肉芽組織のcyclic AMP含量に対するhistamineの効果を調べ,次のような成績を得た.<br>histamine注射(5 mg/kg, i. p.)後10-30分にわたって有意のcyclic AMPレベルの上昇が認められ, histamineの用量を50 mg/kgに増やすと効果は減弱した. histamine 5 mg/kgによるcyclic AMPの増加はburimamide 1 mg/kg, s. c. あるいはmepyramine 1 mg/kg, s. c. による前処置により抑制されたが, burimamideの方がmepyramineよりもより有効であった.これらの両拮抗剤の併用によってhistamineの効果は完全に遮断された.<br>burimamideとmepyramineは, 1 mg/kgの用量ではいずれもadrenaline 1 mg/kg, i. p. によるcyclic AMP増加を遮断しなかった.<br>propranolol. 1 mg/kg, s. c. によって, adrenalineの効果は逆転し, histamineの効果は部分的に抑制された.<br>試験管内実験で, 1mMおよびそれ以下の濃度のhistamineは,単独では,肉芽組織切片のcyclic AMPレベルに影響を与えなかった.しかし, histamine 1 mMはtheophylline 1 mMの共存下では, theophylline単独の場合に比べてcyclic AMPを有意に増加させた. theophylline単独でも,薬物を添加しない対照に比べると有意のcyclic AMP増加が起こった.<br>metiamide 1 mMは, theophylline 1 mM存在下でのhistamine 1 mMによるcyclic AMP増加を完全に遮断した.一方, mepyramine 1 mMは,このhistamine効果を部分的に抑制した.<br>以上の成績より,肉芽組織構成細胞にはH2-受容体が存在していて,その刺激がhistamineによるcyclic AMP増加に主要な役割を演じるものと考えられる.また, H1-受容体もcyclic AMP増加に或る程度関与しているものとみられる.

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