長期間の過食・嘔吐と下剤乱用が原因となって腎不全と呼吸不全を呈した摂食障害の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Secondary Renal and Respiratory Failure Caused by Chronic Surreptitious Vomiting and Laxative Abuse

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説明

症例は18歳で発症した45歳の神経性食欲不振症患者。発症7年後, 下剤の大量乱用による体液の喪失のために高C1血症性代謝性アシドーシスとなり, さらに骨軟化症による歩行障害が出現するまで, 本格的治療を受けることを拒否していた。本症が下剤乱用, 過食, 嘔吐を繰り返す病態を有することが明らかにされた後, 患者は, 説得によってようやく一般精神療法を含む心身医学的治療を受けることに同意し, 入院した。3年間の入院治療の結果, 軽快に至ったため退院となったが, 退院後12年目に, 混合性代謝性酸-塩基障害, 慢性腎不全, 左腎萎縮を併発し, さらに呼吸困難が加わったため再度入院となった。臨床データから, 低K血症性腎症のため, 血液中のpHの上昇を代償できなくなっていた。その結果, 持続する代謝性アルカローシスを代償するためにPCO_2>55mmHgとなり, 中枢性呼吸性障害に進展したと考えられる。

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 35 (5), 421-425, 1995

    一般社団法人 日本心身医学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (14)*注記

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