社会ならびに文化からみた身体化 : 研究から臨床実践まで(第37回日本心身医学会総会)

書誌事項

タイトル別名
  • Somatization in Social and Cultural Perspective : From research to clinical strategies
  • 社会ならびに文化からみた身体化--研究から臨床実践まで
  • シャカイ ナラビニ ブンカ カラ ミタ シンタイカ ケンキュウ カラ リンショ

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抄録

身体化とは, 感情的あるいは心理的な苦痛を身体症状によって表現する過程を意味する。精神科の疾病分類では, 身体表現性障害は医学的に説明のできない身体症状を特徴としており, したがって生理的な変調に由来する機能的な身体症候群を患う多くの患者を含むことになろう。異なる文化圏における身体化という概念の適用と, その場合の身体化と気分障害や不安障害の関係について検討した。多くの場合, 身体症状は病的ではないと思われる身体や世事の厄介ごとについて語る一般的な方法として文化的に作られてきた"苦痛の慣用句"の重要な部分を形成している。しかし, 身体症状が悪化して持続すると, 身体症状は本来の疾病の問題となる。持続した身体化の完成された1つのモデルを概説し, 素因的, 認知的ならびに社会的要因が身体的苦痛を増強し, 援助を求めたり, 能力障害をもたらしたりすることを示した。身体症状を病気のせいにする考え方は, 認知スタイル, 以前の罹病経験, そして文化的に形成された疾病行動と病気の考え方に影響されており, しかもこの考え方が身体化に関与していることを示した。社会的・文化的な立場から眺めると, 身体症状は多様なレベルの意味をもっている。このような社会文化的な観点は, 身体的苦痛を緩和する革新的な臨床的方策を導くと思われる。

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 37 (5), 311-319, 1997

    一般社団法人 日本心身医学会

参考文献 (45)*注記

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