大脳誘発電位および飲水負荷試験からみたfunctional dyspepsiaの内臓知覚の検討(シンポジウム:機能性胃腸症(Functional Dyspepsia)の病態を巡る脳腸相関,2008年,第49回日本心身医学会総会(札幌))

書誌事項

タイトル別名
  • Evaluation of Visceral Sensitivity using Cerebral Evoked Potentials and Water Load Test in Functional Dyspepsia(Symposium/Brain-gut Interaction in the Pathophysiology of Functional Dyspepsia)
  • 大脳誘発電位および飲水負荷試験からみたfunctional dyspepsiaの内臓知覚の検討
  • ダイノウ ユウハツ デンイ オヨビ インスイ フカ シケン カラ ミタ functional dyspepsia ノ ナイゾウ チカク ノ ケントウ

この論文をさがす

抄録

目的Rome IIIでは,functional dyspepsia(FD)を食後愁訴症候群(PDS)と心窩部痛症候群(EPS)に分類している.その病態に内臓知覚異常が有力視されているが,PDSとEPSの内臓知覚異常において相違があるかどうか明らかではない.そこで,大脳誘発電位法と飲水負荷試験の2つの内臓知覚検査を用いてFDの内臓知覚について検討した.方法Rome III診断基準を満たす未受診FD有症被験者(FD non-consulter〔FD-NC〕)および健常者を対象とした.A:FD-NC 16例,健常者16例,経鼻的に挿入した電極で食道粘膜を電気刺激した.自覚症状の程度で感覚,不快,痛覚の3閾値を同定し,それぞれの閾値時の大脳誘発電位を導出し,各閾値時の電流(mA)と大脳誘発電位の出現潜時(ms)と自己記入式症状スコア(GSRS)との関連を評価した.B:FD-NC 16例(PDS 8例,EPS 8例),健常者16例に飲水負荷試験を施行した.被験者に飲水量を知られないようチューブストローで室温のミネラルウォーターを5分間で可能なだけ飲水させ,飲水前後に上腹部症状の強度を0〜4点で自己記入させた.PDSとEPSそれぞれの飲水量を評価した.結果A:FD-NCでは電気刺激による痛覚閾値が低下傾向を示し(p=0.076),大脳誘発電位N2とP2で有意な潜時の短縮がみられた(p<0.05).B:飲水量は,健常者平均853ml,PDS 863ml,EPS 800mlで同等であったが,PDSでは飲水による誘発腹部症状が高値と遷延を示した.EPSでは症状強度と推移はPDSほど顕著ではなかった.結論FD-NCでは内臓知覚情報伝達プロセスの変調が示唆された.さらに,PDSでは消化管刺激による知覚過敏性と持続性が示されたが,EPSではこの傾向は顕著ではなかった.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 49 (7), 777-782, 2009

    一般社団法人 日本心身医学会

参考文献 (5)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ