痛みによる不快情動生成の神経機構(シンポジウム:慢性疼痛の基礎と臨床,2008年,第49回日本心身医学会総会(札幌))

  • 南 雅文
    北海道大学大学院薬学研究院医療薬学部門医療薬学分野薬理学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Neuronal Mechanisms for Pain-induced Aversion(Symposium/The Mechanism and Practice of Chronic Pain)
  • 痛みによる不快情動生成の神経機構
  • イタミ ニ ヨル フカイ ジョウドウ セイセイ ノ シンケイ キコウ

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説明

痛みは,侵害刺激が加わった場所とその強さの認知にかかわる感覚的成分と侵害刺激受容に伴う不安,嫌悪,恐怖などの負の情動(以下,不快情動)の生起にかかわる情動的成分からなる.痛みによる不快情動生成における扁桃体の役割を検討したところ,体性痛に関する情報は基底外側核(BLA)を経て中心核(CeA)に入った後,一方,内臓痛に関する情報はBLAを介さずCeAに入った後,不快情動を生成する可能性が示された.この体性痛による不快情動生成には,BLA内グルタミン酸神経情報伝達が重要であること,モルヒネがこの情報伝達を抑制的に調節することも明らかにした.さらに,"extended amygdala"を構成する脳領域である分界条床核において,痛み刺激によりノルアドレナリン遊離が促進され,このノルアドレナリンによるβ受容体を介した神経情報伝達亢進もまた痛みによる不快情動生成に重要であることを明らかにした.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 49 (8), 877-884, 2009

    一般社団法人 日本心身医学会

参考文献 (8)*注記

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