身体的,心理的摂食調節機構に基づく肥満治療(生活習慣病の心身医学-生活習慣病のターゲット,肥満介入の光と影,2011年,第52回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(横浜))

書誌事項

タイトル別名
  • Somatic and Psychological Aspects of Eating Regulatory Mechanisms in the Treatment of Obesity(Psychosomatic Medicine for the Lifestyle-related Disease : The Light and Shadow of Obesity Intervention)
  • 身体的,心理的摂食調節機構に基づく肥満治療
  • シンタイテキ,シンリテキ セッショク チョウセツ キコウ ニ モトズク ヒマン チリョウ

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抄録

近年,肥満症の治療に関して,心身両面から新しい知見が報告されている.本稿では,それらをふまえ,本症の治療法を考察したい.1)心理的身体的面からの肥満臨床の概略:肥満患者の心理特性は,抑うつ,神経症,低い自尊心,衝動コントロールが苦手などと理解されている.一方,脳機能画像の研究では,肥満患者は遺伝的に,食事中の線条体での報酬系の反応が鈍化している可能性も報告された.また,安静時代謝量に影響する肥満関連の遺伝子多型の存在も明らかになった.2)摂食・エネルギー代謝調節システムの研究:食欲は視床下部を中心に制御されている.その制御が破綻して脂肪細胞が肥大化すると,局所の炎症とそれに伴うアディポサイトカインなどの分泌異常が始まる.これが肥満をさらに増悪させる.3)当科での食欲の研究:健常女性に,催眠下で摂食イメージを与えると空腹感や胃電図は実際の食事と同様に変化するが,グレリンなど摂食調節物質は有意な変化を示さなかった.また,健常女性の1回食事量は,重回帰分析では摂食調節物質と関連せず,<内界への気づきの欠如>と正の関連,<自責感>と負の関連を認めた.4)新しい肥満治療:薬物療法,心理療法ともに,リバウンドの予防が課題である.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 52 (10), 911-917, 2012

    一般社団法人 日本心身医学会

参考文献 (19)*注記

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