臨床医と産業医の連携 : その重要性と課題(シンポジウム:職場のメンタルヘルス最前線,2008年,第49回日本心身医学会総会(札幌))

  • 芦原 睦
    中部労災病院心療内科・勤労者メンタルヘルスセンター
  • 山内 麻利子
    中部労災病院心療内科・勤労者メンタルヘルスセンター
  • 大平 泰子
    中部労災病院心療内科・勤労者メンタルヘルスセンター

書誌事項

タイトル別名
  • The Cooperation between the Clinician and the Industrial Physician and their Associated Problems(Symposium/The Latest Frontiers of Occupational Mental Health)
  • 臨床医と産業医の連携--その重要性と課題
  • リンショウイ ト サンギョウイ ノ レンケイ ソノ ジュウヨウセイ ト カダイ

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抄録

筆者はメンタルヘルス活動の諸過程には次の7つの段階があると考えている.(1)予防,(2)早期発見,(3)相談,(4)診断,(5)治療,(6)復職,(7)再発予防である.一般に産業医は(1)予防,(2)早期発見,(3)相談,(6)復職に関与している.臨床医は,(4)診断と(5)治療の業務が主である.産業医も臨床医も(7)再発予防に関してはあまりなされていないように思う.筆者は上記の(1)〜(7)のすべてに関わる臨床医兼産業医という立場で日々業務を行っている.臨床医と産業医が連携を取りつつ,業務を遂行することは重要なことである.しかし現在その連携は必ずしも良好とはいえない.特に復職に関して,臨床医と産業医の見解の相違がみられることが多い.一般に産業医は,勤労者の健康を守りながらも,事業所の生産性について配慮しながら業務を行う.事業所のことを把握しているので,患者が週40時間の労働力が提供できるか否かという雇用契約に基づいて復職の判断を行う.産業医には,正確で客観的な判断が求められる.一方,臨床医は,弱き患者を守る"弁護人"である.そのため疾病が,十分に寛解していなくても,病者をいたわり,復職させる傾向にある.また臨床医には,自分の患者を診断,治療し,復職させるのは自分であるという自負がある.しかし,この自負だけでは,職場に通用しないことが多いのである.本稿の目的は,臨床医と産業医の立場の相違を明らかにし,両者の連携の重要性とそれに伴う課題について論じることである.特に復職に関する両者の見解も述べた.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 49 (2), 135-141, 2009

    一般社団法人 日本心身医学会

参考文献 (6)*注記

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