アルツハイマー病患者由来培養リンパ球における誘発姉妹染色分体交換 (SCE) と細胞分裂動態の関連の検討

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  • Sister Chromatid Exchanges and Mitotic Delay in Cultured Lymphocytes from Patients with Alzheimer's Disease

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抄録

老年期痴呆をもたらすAlzheimer病(AD)患者由来のリンパ球では, 染色体の数的異常増加の報告がある。しかし同変化は健常者の加齢によっても生じ, また観察には技術的困難を伴うため評価は定まっていない。本研究ではより鋭敏かつ観察容易な染色体損傷の指標である姉妹染色分体交換(SCE)を, 同病患者3名に由来する培養リンパ球において観察した。合わせてDNA closs linksを生ずるMitomycin-C (MMC)存在下でのSCE誘発および細胞分裂動態を観察し, 変異原感受性の評価を行なった。MMC非存在下のSCEはADでは同年代対照に比しやや高いものの有意差は得られなかったが, MMC存在下では両者の差は増幅され有意な差に到った。細胞分裂動態の観察結果からこのSCE頻度の増加は動態変化による見かけ上のものではなく, むしろ細胞内環境の変化によることが示され, 老化に伴う染色体の脆弱化との関連が示唆された。

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