幻覚妄想状態を呈した甲状腺機能低下症の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Patient with Hypothyroidism Presented Hallucinatory-delusional State
  • 症例研究 幻覚妄想状態を呈した甲状腺機能低下症の1例
  • ショウレイ ケンキュウ ゲンカク モウソウ ジョウタイ オ テイシタ コウジョウセン キノウ テイカショウ ノ 1レイ

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説明

急激な幻覚妄想状態で初診し,外来で統合失調症と診断されたが,入院治療開始後に橋本病による甲状腺機能低下症が判明した症例を経験した.症例は42歳女性で,突然幻聴や妄想が出現し,精神科に入院となった.入院後の血液検査がきっかけで橋本病が判明し,甲状腺ホルモン補充療法を開始した.甲状腺機能低下の改善とともに,幻覚妄想の症状は軽快した.今回のエピソードの前後の社会適応はよいこと,病前性格は明るく社交的であること,40歳代であること,levothyroxine sodiumを投与した後から症状が徐々に改善したことから,統合失調症ではなく甲状腺機能低下による器質性妄想性障害(ICD-10 F06.2)と考えられた.本症例は精神症状のみでは統合失調症と甲状腺機能低下症による精神病性障害の鑑別は困難だったが,治療の経過から甲状腺機能低下症による精神病性障害が疑われた.初診時,あるいは入院時に器質性疾患を疑って積極的に精査することが重要と考えられた

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 53 (12), 1120-1124, 2013

    一般社団法人 日本心身医学会

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