たこつぼ型心筋症を合併した神経性食欲不振症の2例

書誌事項

タイトル別名
  • Two Cases of Takotsubo Cardiomyopathy in Patients with Anorexia Nervosa
  • 症例研究 たこつぼ型心筋症を合併した神経性食欲不振症の2例
  • ショウレイ ケンキュウ タコツボカタ シンキンショウ オ ガッペイ シタ シンケイセイ ショクヨク フシンショウ ノ 2レイ

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抄録

たこつぼ型心筋症(takotsubo cardiomyopathy : TC)は,突然発症する左室心尖部の一過性収縮低下をきたす心疾患であり,機序として身体的・精神的ストレス後の高カテコラミンによる心毒性が想定されている.近年,神経性食欲不振症(anorexia nervosa : AN)にTCを合併した症例が,国内外より報告されている.本稿では,筆者らが経験したTCを合併したAN患者2例について報告する.症例1 : 18歳,女性.16歳時にAN発症するも,外来受診は不定期であった.自宅にて昏睡状態で発見され緊急入院となった.BMI9.2kg/m^2と著明なやせを認め,血糖は検出限界以下であった.心電図ではI, aVL, V3-6におけるST上昇,心エコーでは心尖部無収縮を認めた.症例2 : 32歳,女性.2年前より体重減少した.BMI9.0kg/m^2とやせは著明となり,低血糖のため近医入院となったが,心電図上のT波陰転化と心エコーにおける左室のびまん性壁運動低下を認めた.いずれも病変部位が冠動脈支配領域と一致せず,心筋酵素の逸脱も認めないことから,TCと診断した.輸液管理と安静により心臓の異常所見は改善した.AN患者の急性期においては,TCの合併を念頭に置いた病態評価と治療が重要である.

収録刊行物

  • 心身医学

    心身医学 54 (1), 67-74, 2014

    一般社団法人 日本心身医学会

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