深部反射亢進を呈したアルコール性多発ニューロパチーの一例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Alcoholic Polyneuropathy with Hyperreflexia
  • 深部反射亢進を呈したアルコール性多発ニューロパチーの1例
  • シンブ ハンシャ コウシン オ テイシタ アルコールセイ タハツ ニューロパチ

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説明

34歳, 男性。約4年前に手の筋萎縮と脱力, 軽度の歩行障害, 下肢のしびれ感, 深部反射亢進を呈し, 広義の運動ニューロン疾患を疑われた。痙性歩行が増悪した今回の時点では上記に加えて明らかな眼振が出現し, 自律神経症状として発汗傾向がみられた。検査所見では平均赤血球容積の増大傾向, 血清葉酸値の低下, 軽度の肝障害が認められた。神経伝導速度の遅延と筋生検での大群集萎縮がみられ, 更に14年間にわたる飲酒歴から本例の症状のほとんどはアルコール性多発ニューロパチーによるものと診断した。アルコール性神経病変の主体は末梢神経の変性であり, 一般に深部反射は減弱ないし消失する。しかし本例ではアキレス腱反射以外の四肢深部反射が病初より持続的に亢進を示している点が特異である。慢性アルコール中毒で錐体路障害が存在しても, 通常はおそらく優位の末梢神経障害のため, 臨床的には把握しにくいのではないかと思われる。

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