外傷性遷延昏睡における脳損傷

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タイトル別名
  • Brain Damage in Cases Showing Traumatic Prolonged Coma
  • ガイショウセイ センエン コンスイ ニ オケル ノウ ソンショウ

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抄録

外傷性遷延昏睡を示した17例の臨床的病理学的分析より, 遷延昏睡に移行する機序を検討した。第1に, 1次的脳損傷の局在は主として大脳半球に広範に存在するもの, 脳ヘルニアにより脳幹損傷を示すもの, ビマン性脳損傷が脳幹のみならず大脳半球にも広範に存在するものに分類された。臨床的には受傷後早期に重篤な意識障害と脳幹症候を呈した場合遷延昏睡に移行した。意識障害の発現と遷延化には大脳皮質から上部脳幹の間の機能遮断が重要であることが判明した。さらに2次的病変として脳浮腫, 頭蓋内圧亢進, 脳無酸素症, 脳循環障害が1次的病変に加わり頭蓋内病態を修飾し, かつ髄液系の循環障害や脳萎縮などいわば3次的病変が進行することが確認された。この事実は意識障害の遷延化, ないし回復を困難にする因子であると考えられた。

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