複視をきたしたWallenberg症候群の1例

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タイトル別名
  • Wallenberg's Syndrome with Diplopia : Report of a Case

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上下方向にずれる複視を伴ったWallenberg症候群の36歳男性例を報告した。左への方向一定性眼振,右顔面と左半身の温痛覚鈍麻,右への転倒傾向,嚥下困難,右Horner症候群に加え,主として下方注視の際,上下方向にずれる複視を認めた。複視は頭部を右に傾けると軽快し, Hess表検査では左上斜筋不全麻痺の所見であった。MRIで右延髄背外側部のみに限局する小病巣であったことから,複視の原因はこの部分に含まれる前庭神経核,下小脳脚,網様体の障害が同側の滑車神経核および,おそらく,対側下直筋支配核の機能障害をきたしたためと考えられた。文献的にも,病巣側に頭を傾けると軽快する複視がWallenberg症候群に伴うことは極めて稀である。

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被引用文献 (1)*注記

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