右脚ブロックを合併した急性心筋梗塞の臨床的特徴および予後についての検討

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  • Clinical Significance and Prognosis of Acute Myocardial Infarction with Right Bundle Branch Block

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本研究は, CCUに入院した1345例の急性心筋梗塞患者の中から,右脚ブロックを合併した急性心筋梗塞症例の臨床的特徴を検討するとともに,右脚ブロック合併例を退院後まで持続する右脚ブロック症例と退院前に消失する一過性の右脚ブロック症例に分類し,それぞれの心機能,長期予後を検討した。対象は, 1980年1月から1997年12月まで当院に入院した初回心筋梗塞患者1345例で,この中で入院中に完全右脚ブロック波形が出現した111例をRBBB群,右脚ブロックがみられなかった1245例を非RBBB群とした。また, RBBB群のうち生存退院した75例を入院中に右脚ブロックが消失した48例と退院時まで右脚ブロックが持続した症例27例とに分け,前者を一過性RBBB群,後者を持続性RBBB群とした。断層心臓超音波法で入院時,退院時の両時期に左室拡張末期径,左室収縮末期径,左室壁運動異常を測定した。さらに,入院1ヶ月後に心プールスキャン法による左室駆出率およびT1 201心筋シンチグラフィーによるtotal defect scoreを測定した。また,各群の転帰を比較した。RBBB群では,非RBBB群よりも左室壁運動異常, total defect scoreが高値で梗塞範囲は広く(p<0.01),左室駆出率が低下し(p<0.05),院内死亡率も高かった(p<0.05)。さらに,持続性RBBB群および一過性RBBB群の比較では急性期の左心機能には両群間に有意な差はなかったが,発症1ヶ月後には持続性RBBB群は一過性RBBB群に比較し有意に左室壁運動異常, total defect scoreが高値で(p<0.01),左室駆出率は低値であった(p<0.01)。さらに,退院3年以上経過観察しえた症例での比較は長期死亡率も高率であった(p<0.05)。以上の結果より,急性心筋梗塞例において,右脚ブロックの合併の有無および右脚ブロックが一過性か持続性かは心機能および予後の予測に有用であると考えられた。

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