音声外科手術の未来  声帯溝症に対する治療法の可能性

  • 角田 晃一
    独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター (国立感覚器センター) 人工臓器・機器開発研究部

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  • Phonosurgery for Sulcus Vocalis and the Future

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抄録

声帯溝症などの声門閉鎖不全に対する治療法は, 声帯内への注入療法として1911年Bruningsにより報告された声帯内へのパラフィンに始まり, さまざまな注入が試みられた.しかしながら使用禁止や, 効果の問題, さらにBSEの報告後は自家組織が安全とされ現在声門閉鎖不全に対する注入は, 現在いずれも自家の, 脂肪・コラーゲン・筋膜が主流である.その一方で, 1980年代から1990年代に声帯の溝, 瘢痕の摘出や, 切開を加えて生理的な創傷治癒機転により声帯粘膜を再生させる術式も行われている.<BR>これらの技術を応用し, 「声帯内自家筋膜移植術 (ATFV) 」を1997年に開発, 声帯溝症や声門閉鎖不全に対し治療を続けている.その後の良好な長期臨床成績と問題点を, 技術, 組織・再生医療面から検証をした.さらに, 本術式の応用である, 内転型の痙攣性発声障害に対する声帯内容置換術, 内視鏡下声帯内方移動術などを紹介し, 今後の本術式の将来の遺伝子治療や再生医療などへの応用の可能性を示唆する.

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参考文献 (26)*注記

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