視覚的記憶力の低下を呈した中学生男児1例における英語音読

  • 蔦森 英史
    筑波大学大学院人間総合科学研究科 NPO法人LD・Dyslexiaセンター
  • 宇野 彰
    筑波大学大学院人間総合科学研究科 NPO法人LD・Dyslexiaセンター
  • 春原 則子
    NPO法人LD・Dyslexiaセンター 目白大学保健医療学部
  • 金子 真人
    NPO法人LD・Dyslexiaセンター 帝京平成大学健康メディカル学部
  • 粟屋 徳子
    NPO法人LD・Dyslexiaセンター 東京都済生会中央病院リハビリテーション科
  • 狐塚 順子
    筑波大学大学院人間総合科学研究科 NPO法人LD・Dyslexiaセンター 埼玉県立小児医療センター保健発達部
  • 後藤 多可志
    NPO法人LD・Dyslexiaセンター 目白大学保健医療学部
  • 三盃 亜美
    筑波大学大学院人間総合科学研究科 NPO法人LD・Dyslexiaセンター

書誌事項

タイトル別名
  • English Reading in a Junior High School Boy Who Showed Disability of Visual Memory

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説明

本症例は右利き,検査時13歳の男児である.全般的な知能は正常(VIQ97,PIQ90,FIQ93)でモーラレベルの音韻認識力は良好であるが,Rey-Osterrieth Complex Figure testの直後,遅延再生において2SD以上の成績低下が認められた.漢字の書字障害に加え,英語音読と書字における学習困難を呈していた.視覚的記憶力を詳細に評価する課題として無意味図形を用いたSternberg課題を行った.その結果,本症例は対照群と比較し記憶項目が増加するにつれ再認正答数が低下したことから,繰り返し学習しても複数の視覚図形を学習することが困難であると考えられた.本邦においては漢字書字障害と視覚的記憶力の低下との関連が報告されている.一方欧米圏では視覚情報処理能力の低下が英語音読に影響することが指摘されている.本研究の結果からも視覚的な記憶表象の脆弱さは,漢字書字だけではなく英語音読の困難さに影響する可能性が示唆された.

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