Wave-intensityに基づく主肺動脈内波動様式の解析:大動脈との対比における検討

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タイトル別名
  • Wave Propagation Patterns in Main Pulmonary Artery Using Wave Intensity (WI) Analysis: Comparison of Pulmonary and Aortic WI Waveforms

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抄録

【目的】上行大動脈(AO)と主肺動脈内(PA)wave intensity(WI)波形の比較から主肺動脈内波動様式の特性を検討した。【対象】AO,PAに異常のない5例と軽症肺高血圧(PH)1例を対象に,multisensor catheterで同時計測したAOとPA内同一部位の圧(P)と流速(V)の時間微分値の積からWIを算出し,前進波の指標として,(1)駆出初期の正のpeak WI(W1)値,(2)駆出後期の正のpeak WI(W2)値と,(3)W1/W2値を,反射波の指標として(4)駆出中期WI波形の負のpeak negative wave(NW)値と(5)∫NW/∫PW値(1心拍駆出期の負と正のWI波形の面積比)を求めた。【結果】peak W2を除きAOのパラメータがPAよりすべて高値(p<0.005)を示した。対象例のPA内におけるNWの発生例はなく,PH例のPAで著明なNWの発生をみた。【結語】WIの分析から反射波が著明なresistance vesselとしての大動脈に対し,駆出血流が前進波とその慣性でほとんど維持されるcapacitance vesselとしての肺動脈の特性が明確に示された。また,WIはPH等の肺動脈初期病変の鋭敏な分析法となり得る可能性が強く示唆された。

収録刊行物

  • 脈管学

    脈管学 52 (May), 235-242, 2012

    日本脈管学会

参考文献 (18)*注記

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