2型糖尿病経過中,糖尿病性昏睡を伴う非自己免疫性劇症1型糖尿病発症が疑われた1例

書誌事項

タイトル別名
  • ショウレイ ホウコク 2ガタ トウニョウビョウ ケイカ チュウ,トウニョウビョウセイ コンスイ オ トモナウ ヒジコ メンエキセイゲキショウ 1ガタ トウニョウビョウ ハッショウ ガ ウタガワレタ 1レイ

この論文をさがす

抄録

症例は56歳男性. 1992年, 肥満状態で尿糖を指摘されたが放置. 1997年5月7日頃より感冒症状, 嘔吐, 下痢を繰り返し, 5月13日昏睡にて当科緊急入院. この時, 末梢循環不全, 頻呼吸を認め, 血糖値2.095mg/dl, pH 7.068, HCO3-7.8mEq/l, 3-ヒドロキシ酪酸978μmol/l, Anion gap 42.6mEq/l, 乳酸39.6mg/dl, L/P比16.5で高浸透圧と共にケトアシドーシスおよび軽度の乳酸アシドーシスの存在が示唆された. NaHCO3および速効型インスリン持続静注にて翌朝には血糖値400mg/dl, pH 7.373, 乳酸23.4mg/dlと改善し, 意識も回復した. その後インスリン皮下注射へ移行したが, 血糖コントロールは極めて不安定で, 尿中CPRは測定感度以下が持続, 抗GAD抗体, 抗インスリン抗体は陰性であった. 本例は, その病歴から2型糖尿病であったと考えられ, 著明な高血糖による高浸透圧にケトアシドーシスが合併したことで組織循環不全をきたし, 急激にインスリン分泌不全に至った可能性と, 臨床像としては定型的ではないが非自己免疫性劇症型1型糖尿病を発症した可能性も考えられた.

収録刊行物

  • 糖尿病

    糖尿病 45 (6), 407-410, 2002

    一般社団法人 日本糖尿病学会

被引用文献 (4)*注記

もっと見る

参考文献 (13)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ