インスリン治療開始後の肝障害(トランスアミナーゼ値上昇)についての検討

  • 高橋 輝
    医療法人みどり会中村病院糖尿病内科 大阪府済生会野江病院糖尿病・内分泌内科
  • 武村 次郎
    大阪府済生会野江病院糖尿病・内分泌内科

書誌事項

タイトル別名
  • Posttreatment Liver Dysfunction after Insulin Therapy Induction
  • インスリン チリョウ カイシゴ ノ カンショウガイ トランスアミナーゼチ ジョウショウ ニ ツイテ ノ ケントウ

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説明

インスリン治療開始後に肝障害が生じることは一部の症例報告で指摘されているが,その頻度などの詳細は不明である.今回われわれはトランスアミナーゼ値が施設基準値を超えたものを肝障害と定義し,インスリン導入目的にて入院した119人の患者を調査した.導入前に既に肝障害のあった39人を除いた80人のうち,施設基準値をわずかでも超えたものは14人(17.5%), 基準値上限の1.5倍以上に達したものも5人(6.25%)となった.インスリン製剤の添付文書にはその頻度は0.1%未満と記載されており,日常臨床では肝障害の頻度が高いことがわかった.肝障害は一過性で,インスリン投与を継続してもトランスアミナーゼ値は正常化したが,以前の報告ではインスリンの中止や変更が必要とするものがあり,肝障害出現時の対応は確立していない.インスリン治療開始後の肝障害について若干の文献的考察とともに報告する.

収録刊行物

  • 糖尿病

    糖尿病 50 (9), 679-683, 2007

    一般社団法人 日本糖尿病学会

参考文献 (10)*注記

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