糖尿病の血管障害

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  • トウニョウビョウ ノ ケッカン ショウガイ

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抄録

糖尿病の血管障害といえば, 動脈硬化症であろう.周知のように, 最近の医学の進歩, わけても治療医学の進歩は, 人間の平均寿命を著しく延長したが, 同時に老人病の第一位を占める動脈硬化症の問題を医学の前景にもたらした.特に糖尿病では, インシュリンの発見と, 抗生物質の進歩とで, この傾向が顕著である.即ち動脈硬化症は糖尿病者では, 非糖尿病者に比して数倍の発病及び死亡率を示めすばかりでなしに, 10年近くも早発するといわれる.しかるに今日動脈硬化症に関する吾々の知識は十分でなく, これに対する治療は勿論, 効果的な対策も未だ “試みと失敗” の域を出でない.<BR>私は従来糖尿病を専攻したわけではないが, 動脈硬化症, 特に高血圧症を物質代謝, わけても血管系におけるadenosine tri phosphate-adenosine tri phosphatase 系 (ATP-ATPase系) の障害とみるので, 物質代謝の障害に属する糖尿病, しかもこれは前記のように高血圧症, 特に動脈硬化症に深い関連をもつので, 自然関心をもつようになつた.本日の報告もこの方面を中心として話題を進めて行こう.

収録刊行物

  • 糖尿病

    糖尿病 1 58-78, 1958

    一般社団法人 日本糖尿病学会

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