抗インスリン抗体陽性で反応性低血糖を合併した1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Reactive Hypoglycemia with Insulin Antibody
  • 症例報告 抗インスリン抗体陽性で反応性低血糖を合併した1例
  • ショウレイ ホウコク コウインスリン コウタイ ヨウセイ デ ハンノウセイ テイケットウ オ ガッペイシタ 1レイ

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抄録

症例は65歳の男性.2001年2型糖尿病と診断され,2004年10月よりヒトインスリン治療を開始されていた.血糖コントロールが改善し2005年8月より内服薬,インスリンを中止されていたが,11月より低血糖発作が出現し頻発するため9月当科紹介入院.入院時,IRI 1,700 μU/ml, インスリン抗体83.3%と高値で,Scatchard解析におけるhight affinity siteの親和性は1.85×108M-1と高く,また結合能も26.2×10-8Mと高かった.以上の結果より,本例のインスリン抗体はインスリン注射によって生じた抗体であると推測した.インスリン抗体の結合能が非常に高いことから,インスリン抗体の存在により末梢では著明なインスリン抵抗性の状態であったことが推測され,食事療法の不徹底も加わり反応性低血糖が惹起されたと考えられた.さらに,低血糖に対する恐怖心で一層の過食傾向となり著明な食後過血糖を呈したことにより,低血糖の頻度はさらに増加したと推測された.低血糖は,入院後の食事療法,ボグリボース内服にて消失しており,現在までコントロール良好である.ヒトインスリン治療中に生じたインスリン抗体が低血糖の誘因となった既報は少なく,稀な症例と考えられ報告する.

収録刊行物

  • 糖尿病

    糖尿病 50 (3), 207-211, 2007

    一般社団法人 日本糖尿病学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (11)*注記

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