ステロイド投与を契機に重症糞線虫症を合併した2型糖尿病患者の1例

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タイトル別名
  • A Case of Glucocorticoid-Induced Severe Strongyloidiasis That Occurred in an HTLV-1Carrier With Type 2 Diabetes Mellitus

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抄録

2型糖尿病で加療中の85歳女性.入院2か月前より水泡性天疱瘡に対してステロイド治療が開始された.3日前からの発熱を主訴に当院を受診し,肺炎を契機とした糖尿病性ケトアシドーシスの診断で入院した.入院後ステロイドを中止し,インスリン,抗菌薬を開始したが,翌日の喀痰鏡検にて糞線虫の幼虫を多数認めたため糞線虫過剰感染症と診断しイベルメクチンを開始した.また,意識障害,呼吸不全を認め,細菌性髄膜炎,非心原性肺水腫と診断し,抗菌薬の変更,非侵襲的陽圧換気も開始した.本例の抗HTLV-1抗体は陽性であり,イベルメクチン14日間連日投与で糞線虫は陰性化し,約60日間かけて意識状態,呼吸状態も改善を認めた.本例は抗HTLV-1抗体陽性2型糖尿病患者がステロイド投与を契機に糖尿病性ケトアシドーシス,細菌性髄膜炎,非心原性肺水腫を伴った重症糞線虫症を発症し,イベルメクチン連日投与により救命し得た希少な症例である.

収録刊行物

  • 糖尿病

    糖尿病 59 (5), 369-375, 2016

    一般社団法人 日本糖尿病学会

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