インスリン非依存状態が持続し,肥満および大血管障害を伴った膵島関連抗体陽性糖尿病の1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Obese Non-insulin-dependent Diabetes Mellitus with Macroangiopathy Associated with Positive Islet Autoantibodies for 5 years
  • 症例報告 インスリン非依存状態が持続し,肥満および大血管障害を伴った膵島関連抗体陽性糖尿病の1例
  • ショウレイ ホウコク インスリン ヒイソン ジョウタイ ガ ジゾク シ,ヒマン オヨビ ダイ ケッカン ショウガイ オ トモナッタ スイトウ カンレン コウタイ ヨウセイ トウニョウビョウ ノ 1レイ

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抄録

症例は64歳女性.2002年より糖尿病治療を開始し,血糖コントロール目的で2005年に入院.既往に高血圧症,家族歴は母に糖尿病がある.体重84.3 kg, BMI 36.9と肥満を認め,FPG 127 mg/dl, HbA1c 6.8 %(以下JDS値),血中CPRは朝食前2.43 ng/mlで朝食後2時間CPR 6.06 ng/ml, HOMA-R 4.39とインスリン分泌能は保たれ,インスリン抵抗性を示した.一方,膵島関連抗体はGAD抗体627.2 U/ml, ICA 1:10, IA-2抗体8.0 U/mlといずれも陽性であった.糖尿病の治療は,食事療法とアカルボース300 mg内服を継続した.以後5年間経過を観察したが,HbA1c 6.5~7.5 %,随時血中CPR 3.13~6.59 ng/mlで推移し,インスリン非依存状態が持続している.経過中には脳梗塞,不安定狭心症を発症した.インスリン抵抗性,BMI高値,大血管障害,糖尿病家族歴など2型糖尿病の臨床像を示した一方,GAD抗体,ICAおよびIA-2抗体がいずれも陽性,HLA class II遺伝子型は日本人1型糖尿病に対する感受性を示していることより,糖尿病の成因と病態を考える上で示唆に富む貴重な症例と考えられた.<br>

収録刊行物

  • 糖尿病

    糖尿病 55 (2), 116-121, 2012

    一般社団法人 日本糖尿病学会

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