農耕地土壌中のディルドリン,クロルデン残留

書誌事項

タイトル別名
  • Dieldrin and Chlodane Residues in Agricultural Land.
  • ノウコウチ ドジョウチュウ ノ ディルドリン クロルデン ザンリュウ

この論文をさがす

説明

ディルドリンなどの有機塩素系殺虫剤は, 高い残留性および毒性のため, 1971年に国内での農薬としての使用を禁止された。しかし, これらの殺虫剤は, 近年でも土壌残留の結果として, 国内各地で食品中の残留事例が散見されてきた。今回筆者は, 四つの農耕地について土壌中の農薬残留を調査した。<BR>一つの圃場より, ディルドリンを0.05μg/g-dry程度検出した。3.5年間追跡調査を行ったところ, この圃場におけるディルドリンの第二半減期は25年程度, その95%信頼区間は7年~ 無限大と算出された。<BR>二つの圃場よりクロルデン類をそれぞれ0.015, 0.2μg/g-dry程度検出した。それぞれ5, 4年間追跡調査を行ったところ, 二つの圃場におけるクロルデン類濃度の土壌中の第二半減期はそれぞれ7, 6年, その95%信頼区間は, それぞれ5~13, 4~9年であった。<BR>ディルドリンは, 戦後1950, 60年代に食料増産の必要から, 行政が指導して使用させた結果としての残留であり, 農薬としての使用が禁止されてから, すでに20年以上経過している。ディルドリンの土壌残留性の高さなどから推して, これからも数十年にわたり食品衛生法違反が散見されることが予想される。ディルドリンの土壌残留問題は, 国家補償の観点に立ち, 農薬取締法から「農用地の土壌汚染防止等に関する法律」に移して行政対応すべきではなかろうか。

収録刊行物

参考文献 (42)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ