石灰窒素中毒の一症例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Poisoning by Nitrolime

説明

農村に於て, 肥料中毒, 特に石灰窒素による中毒が屡々見られる。この中毒の特異な点はAlcoholによって, 中毒症状が非常に強く増強される点である。患者は35歳の男子, 昭和33年4月末, 田2枚 (約420坪) に石灰窒素1袋 (22.5kg) を約30分かかって撒布した。この際, 手拭, マスクで鼻を覆わなかった。其後8時間何等の異常もなかったのに, 晩酌として酒2合足らずを飲んだ。之は平生の1/4にも足らない量であったが, 5分後に顔面及び上半身の潮紅, 全身の熱感を来し, 10分後に心悸亢進, 呼吸促迫を来し, 頭痛強く, 嘔気をもよおし, 更に胸内苦悶を呈した。之等症状が約一時間続いたが, 徐々に症状が消褪して眠りに陥った。翌日, 尚頭重・嘔気・全身倦怠・脱力感等が残った。血圧は110~50と低下し, 心窩部圧痛, 腱反射減弱等をしめしたが, 20%葡萄糖液にMethioninを混注し, 安静を取らせたら, 丸一日で, 各症状消褪し, 正常に復した。これ即ち, 石灰窒素を吸入した後に, Alcoholを摂取した為に起った急性の石灰窒素中毒の一例である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001204910057344
  • NII論文ID
    130004384807
  • DOI
    10.2185/jjrm.7.3_236
  • ISSN
    13497421
    04682513
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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