急性期における漢方治療

書誌事項

タイトル別名
  • Kampo Therapy on Acute Phases of Illness
  • 教育講演 急性期における漢方治療
  • キョウイク コウエン キュウセイキ ニ オケル カンポウ チリョウ

この論文をさがす

抄録

急性期疾患における漢方診療経験を,症例を中心に提示した。漢方のバイブルである『傷寒論』は急性熱性疾患をモデルに,臨床経験に基づき,経過中に出現する種々の病態に対する各々の適応方剤を効果の確実性とともに示した,EBMの書である。急性疾患の漢方治療においては,証の陰陽と六病位の判断が重要で,虚実だけでは不十分である。また陰陽の一面である寒熱の有無とその程度の判断が大切である。その他,特に急性熱性疾患においては,臨床経過に伴う六病位など証の変化,併病や合病などの判断も必要である。また即効性があるので,試服による治療的な証の診断が有効である。診断には脈診が有用であり,腹診では特異的な抵抗や圧痛とともに,腹部の温度にも注意を要する。処方では,桂枝二越婢一湯が急性熱性疾患を中心に有効な例が多く,もっと利用されるべきである。重症患者では,烏頭なども含めた生薬を用いて入院診療が可能な施設が必要である。

収録刊行物

参考文献 (4)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ