有機燐農薬の中枢神経への影響に関する研究 (第1報)

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  • ユウキ リンノウヤク ノ チュウスウ シンケイ エ ノ エイキョウ ニカンスル

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説明

ウサギおよびサルを用いて, マラチオン, スミチオンの急性投与を行い, 皮質ならびに深部脳波, 心電図, 血圧の変化, または血中コリンエステラーゼ値の推移を観察した。<BR>さらに, 長年にわたり有機燐剤散布に従事した男性を対象に, 散布前後に反復して, 脳波検査。血清コリンエステラーゼ値の測定を行い。対照群, 急性中毒例と比較検討した。<BR>1. 動物実験<BR>1) 比較的少量投与群では, 脳波は覚醒波形がつづき発作波の出現はなく, 心拍数, 血圧にも大きな変化はなかった。<BR>2) 大量投与群では, ウサギは脳波の変化に先行して心拍数, 血圧の漸次下降があり, ついで海馬の脳波に律動徐波, 心拍数は変らないが血圧の上昇がみられた。つぎに海馬に速波出現がみられ, それとともに徐脈, 血圧が下降し, やがて脳波は海馬に限局した棘波が出現, 血圧は急速な, 心拍数はゆるやかな上昇がみられた。その後棘波は全誘導に広がり汎発性発作波の出現となった。脳波上, 異常波の出現は, 有機燐剤投与後長い潜時の後にみられた。<BR>3) サルでは, ポリグラフの変化はウサギと大体同様だが, 初発異常波は海馬のみでなく, 並行して皮質運動領にもみられた。<BR>4) マラチオン, スミチオンともに, 異常波出現閾値は経口投与の方が静脈内投与よりも低閾値であった。また両者とも, サルの方がウサギより低閾値であった。<BR>5) 硫酸アトロピン, PAMの投与は, 血球コリンエステラーゼ値の低下に対しては抑制効果を示したが, 脳波の異常出現に対してはほとんど抑制効果は示さなかった。<BR>2. 有機燐剤散布者についての検索<BR>1) 散布前の脳波検査では, 28名中12名 (43%) に8~9c/sのslowαactlvltyの中等量以上の出現をみとめた。そのうち2名は中振幅徐波の散発性出現がみられた。<BR>2) 散布直後の脳波検査では, 14名に施行したが, 散布前とくらべてあまり変化はなかった。ただ, 前に徐波混在した2名に軽度の増悪がみとめられた。<BR>3) 対照群は全員正常脳波所見を示した。<BR>4) 血清コリンエステラーゼ値は, 散布前後で有意の差はなかった。しかし, 散布前でもやや低値の傾向を示すものが多かった。

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