農漁村における小児・若年層の健康増進についての研究

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  • A Study of Health Promotion Measures for Children in an Agricultural/Fishing Village.
  • ノウギョソン ニ オケル ショウニ ジャクネンソウ ノ ケンコウ ゾウシン ニ

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抄録

農漁村において, 小児の肥満を予防し治療することは, その地域住民の健康増進を考える時, 極めて重要なことである. 今回の研究は, その目的にそって実行された.<BR>まず, 農漁村の肥満時の発生状況について, 疫学的調査を行った. その結果, 農漁村の小児の肥満児率は, 明らかに市街地を上まわっていることを認めた. また, 年毎に増加の傾向があることも判明した. 更に, 小児肥満の始まる年齢は, 4-5歳という幼い年齢であることも判った. 農漁村における小児肥満の原因として『食事の嗜好』『炊事の責任者』『食事時間』などについては, 市街地と大差がなかった. しかし,『食事のとり方』『家族の肥満』『運動を好まない』『肥満への意識に乏しい』などは明らかに市街地と差が見られた. 小児肥満の合併症は, 我々の研究では, 以外に頻度が高かった. 特に, 脂肪肝と高コレステロール血症の頻度が高かったが, 心身症の合併を認めた報告もあった. 小児肥満に対する治療として, サマーキャンプ・外来治療・入浴治療等を実施した. 治療の効果は著明で, 特に入院治療やサマーキャンプで良い成績をあげた. 肥満の判定に体脂肪率は, 成人と同様に, 有用な測定法であることが示唆された. また血中脂肪酸の変動は, 成人後の動脈効果の発症に関与していると考えられた.<BR>小児の肥満が, 農漁村で市街地を凌駕して, 増加していることが確認された. しかし適切な対策により, 増加を抑制出来る可能性が得られたと思う.

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