下部消化管内視鏡で組織生検を行ない,悪性転化を伴う成熟嚢胞性奇形腫の診断に至った1例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Mature Cystic Teratoma with Malignant Transformation Diagnosed Using Colonoscopy
  • 症例報告 下部消化管内視鏡で組織生検を行ない,悪性転化を伴う成熟嚢胞性奇形腫の診断に至った1例
  • ショウレイ ホウコク カブ ショウカカン ナイシキョウ デ ソシキセイケン オ オコナイ,アクセイ テンカ オ トモナウ セイジュクノウホウセイ キケイ シュ ノ シンダン ニ イタッタ 1レイ

この論文をさがす

抄録

卵巣腫瘍の診断は問診,経腟超音波検査,腫瘍マーカー,CT 検査,MRI 検査,腫瘍径などの情報を総合的に判断している.しかし確定診断には,手術により摘出した腫瘍の病理検査が必要である。今回,我々は腸管穿孔を認める卵巣腫瘍に対し,内視鏡的に組織生検を行ない,術前に確定診断ができた症例を経験したので報告する。<br>  症例は68歳女性。下腹部痛を主訴に当科受診し,経腟超音波検査にて巨大卵巣腫瘍を認め,精査目的で入院となった。発熱と炎症反応高値を認め,造影CT 検査でS 状結腸の造影効果を伴う壁肥厚と腫瘍内の消化管内のガス像を認めることから,下部消化管穿孔による腹腔内膿瘍が疑われた。経腹的に膿瘍に対し穿刺ドレナージを行なうと,排液内に毛髪を認めた。一般に毛髪を認めるのは卵巣成熟嚢胞性奇形腫であることから,腫瘍と腸管の交通が疑われ下部消化管内視鏡検査を行なった。その結果,卵巣腫瘍のS 状結腸への浸潤が認められた。同時に行なった組織生検で扁平上皮癌が確認され,悪性転化を伴う成熟嚢胞性奇形腫を術前に診断し,大学病院で手術を行ない,術後に化学療法が行なわれた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ