初診時単純X 線動態撮影による椎体不安定性の定量評価に基づいた骨粗鬆症性椎体骨折の最適な治療法確立に向けた試み

  • 船山 徹
    県北医療センター高萩協同病院整形外科
  • 塚西 敏則
    県北医療センター高萩協同病院整形外科

書誌事項

タイトル別名
  • Establishing Optimal Treatment for Osteoporotic Vertebral Fracture Based on Quantitative Evaluation of Vertebral Body Instability Using Dynamic Radiographs at Initial Visit
  • ショシンジ タンジュン Xセン ドウタイ サツエイ ニ ヨル シイタイ フアンテイセイ ノ テイリョウ ヒョウカ ニ モトズイタ コツソショウショウセイシイタイ コッセツ ノ サイテキ ナ チリョウホウ カクリツ ニ ムケタ ココロミ

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抄録

65歳以上の骨粗鬆症性椎体骨折患者43名に対し,初診時単純X 線動態撮影による椎体不安定性の定量評価に基づいて設定した3 つの治療法を考案した。すなわち椎体不安定性を立位と仰臥位における椎体圧潰率(%)の差と定義し,差が5 %までの症例は安静期間を設けずジュエット型硬性コルセット完成(約1 週間)とともに離床を許可,差が5 %~20%までの症例は2 週間の床上安静後に同コルセット下に離床を許可,差が20%以上の症例は2 週間の床上安静後同コルセット下に離床して疼痛が残存しリハビリテーションが進まない場合手術へ治療法を変更した。これらの治療開始3 か月後の疼痛および日常生活動作(ADL)および生活の質(QOL)の改善程度および骨癒合を評価したところ, 3 つの治療法すべてで概ね満足できる治療成績が得られた。本骨折は早期除痛とADL およびQOL の早期改善が治療目標であるが,実際には疼痛がごく軽度で歩行可能な症例から座位すら困難な症例まで様々であり,画一的な保存治療のみに固執するだけでは本骨折の最悪の転帰である遷延治癒や偽関節および遅発性麻痺の発生は予防できない。本研究の結果から椎体不安定性の定量評価に基づき,保存治療を優先しつつも手術まで考慮に入れて治療にあたることが望ましいと考えられた。特に椎体圧潰率の差が20%以上の症例では比較的早期の手術介入により遷延癒合や偽関節および遅発性麻痺となる症例をゼロに出来る可能性がある。

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参考文献 (3)*注記

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