母指手根中手関節症における舟状大菱形骨関節のX線所見と肉眼所見の乖離

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【目的】Eaton分類 stage III(SIII)の母指CM関節症(CM関節症)に対する手術治療は我が国では関節形成と関節固定が一般的である.関節固定では隣接関節に関節症変化があれば適応を慎重に考慮しなければならない.SIIIの診断は術前のX線にて行われるが,術中の肉眼所見にて舟状骨遠位の変性像がみられる例にしばしば遭遇する.今回,術前にSIIIと診断した症例の舟状骨遠位関節面の状態について観察した.【対象・方法】2003年以降当科にてCM関節症に対し大菱形骨全摘出+関節形成術を行った87関節のうちSIIIは46関節であった.このうち術中の観察において舟状骨遠位関節面に軟骨のびらん,軟骨下骨の露出といった変性所見を認めたのは17関節:37%であった.【考察】X線における舟状大菱形骨(ST)関節の評価は術中の観察における所見とは乖離していた.CM関節固定によりST関節の関節症変化の進展が危惧される.関節固定を行う際はMRIや関節鏡による評価が必要かもしれない.

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