発症後40年以上経過して手術を行なった大腿四頭筋拘縮症の1例

この論文をさがす

説明

注射による大腿四頭筋拘縮症は乳幼時期に頻回に受けた筋肉内注射が原因であり,本邦で1973年以来大量発生が報告された.近年の新たな発症は無いと思われるが,診断されないままに経過していた1例を治療する機会があったので報告する.症例:44才 女性.主訴:歩容異状,走行困難 乳児期に近医でγ―グロブリン筋注を両大腿部に10回以上受けた.幼時期から歩容異常があったが原因不明と言われ,走ることを避けていた.最近インターネットで調べて自己診断し,当科を受診した.所見:正座は可能.腹臥位で大腿直筋の短縮を評価する指標である「尻上がり角度」は右50°,左40°で,歩容異状が見られた.歩容改善の希望が強く手術を行なった.手術は左右別に2回行なった.大腿前面を6cm切開し大腿筋膜と腸脛靱帯を横切,大腿直筋を2段にずらして完全切離した.術後は3日間股関節伸展,膝屈曲位で仰臥した後に筋ストレッチと筋力訓練を行ない,症状は消失した.

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ