ヒグマの糞より発生するハエ類

書誌事項

タイトル別名
  • Flies occurring from wild brown bear dungs in Hokkaido
  • ヒグマの糞より発生するハエ類〔英文〕
  • ヒグマ ノ フン ヨリ ハッセイスル ハエルイ エイブン

この論文をさがす

説明

1976年から1978年までの3年間, 北海道において野生のヒグマの糞より発生するハエ類を調査した。5月から10月までの期間, 北海道東部の山岳地帯の10カ所より, 排泄後数日以内のヒグマの糞を15糞塊集め, 研究室において成虫を羽化させ, 種を同定し, 個体数を数えた。その結果, 14糞塊から4科8属10種, 444個体のハエが得られた。これらのうち, Lasiomma octoguttatum, Lasiomma iwasai, Pyrellia tateyamensis(タテヤマコミドリハナバエ)の3種が多く見いだされた。また, 山地性の大型種Mesenbrina resplendens(キバネクロバエ), 住家性のFannia canicularis(ヒメイエバエ)の発生も確認した。Lasiomma属のハエのクマの糞からの発生の記録はないが, 幼虫は糞食性と思われる。P. tateyamensisは, 本州・立山の中腹でしか見いだされていなかったが, 北海道の山間部にも広く分布していることがわかった。Mesembrina resplendensは, 本州の中部と北部, 北海道の山地に生息するが, その発生源は不明であった。著者らは, これまでにこの種が牛糞から発生するかどうかを調査したが, 発生は認められなかった。今回の調査により, クマの糞が本種の主な発生源の1つであることがわかった。Fannia canicularisは, 一般に人家周辺で腐肉, 腐植質, 鶏糞, 犬糞などに発生することが知られているが, 山間部でもクマの糞から発生したことは, この種が他のいろいろな野生動物の糞にも発生する可能性を示すものと思われる。

収録刊行物

  • 衛生動物

    衛生動物 30 (4), 355-359, 1979

    日本衛生動物学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ