糸状虫症に関する研究 VII : オオクロヤブカ腹部体腔内におけるマレー糸状虫幼虫の被嚢化に関する組織学的観察

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書誌事項

タイトル別名
  • Studies on filariasis VII : Histological observation on the encapsulated Brugia malayi larvae in the abdominal haemocoel of the mosquitoes, Armigeres subalbatus
  • 糸状虫症に関する研究-7-オオクロヤブカ腹部体腔内におけるマレー糸状虫幼虫の被嚢化に関する組織学的観察〔英文〕
  • シジョウチュウショウ ニ カンスル ケンキュウ 7 オオクロヤブカ フクブ タ

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説明

マレー糸状虫を感染させたオオクロヤブカを, 吸血後0.5,3,12,24,48時間, 3,5,7,10日目の蚊について, パラフィン切片を作製しヘマトキシリン・エオジン染色後組織学的な観察を行った。感染後30分の標本においてミクロフィラリア型幼虫の周りに淡褐色の物質の付着が観察され, 付着物質のある部分では淡褐色から濃褐色へと色の変化が認められた。感染後90分の標本では蚊の腹部体腔内のほとんど全ての幼虫が濃褐色の被嚢によって囲まれていた。感染後3時間の標本では多数の円形の細胞が被嚢周囲に付着するのが観察され, 感染後24時間までにそれらの付着細胞は明らかに偏平化し, 個々の細胞の核は判別しづらい傾向が見られた。感染後48時間の標本では被嚢周囲の細胞層が若干青色を帯びた褐色の層として観察された。感染後5日∿10日の標本では細胞層の中に多数の微小な褐色粒子が観察された。これらの観察より感染初期の褐色物質の付着に引き続いて起こる蚊の細胞性応答は蚊の腹部体腔内における糸状虫幼虫の被嚢化反応に一つの役割を果たしていることが示唆された。

収録刊行物

  • 衛生動物

    衛生動物 37 (1), 59-65, 1986

    日本衛生動物学会

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